塩化ビニールレザーの出現と縫製技術の導入

 戦後の高分子化学工業の急激な発達にともなって、昭和28年頃からビニールレザーなどがかばん素材として出始めていた。
 当時、豊岡でのかばん製作技術は、ビニールレザーなどをフャイバー鞄に貼りつける加工が主体であった。縫製はふとん袋と柳高李やフャイバー鞄の裏地縫が若干あるだけで、本格的な鞄のうに対する縫製技術は全くなかった。
 昭和27年頃、東京でマニラから持ち帰ったかばんを参考にして「スマートケース」が考案された。これは別に素材を袋状に縫製し、あとで枠に被せたものぼで、素材のビニールレザーが大変軽く、急速に伸びていった。特に、この、「スマートケース」は、映画「君の名は」で岸恵子が持ち、大流行した。
 豊岡でも「スマートケース協会」(支部長卯野福吉)を設立し、本格的に生産することになった。これにともない、昭和29年頃からミシン加工による縫製技術が導入されたころである。
 この頃、山下庄一や尾崎豊一が、製造したトランクをニューブライトケースとして実用新案申請し、これが登録されたことから、業者多数がこれに参加し「ニューブライトケース工業界」を設立し発展を期待した。
ふとん袋
ふとん袋【昭和20年頃】
敷蒲団1枚、掛け蒲団2枚がはいる。麻布、木綿布などで作られた。転居の際には必需品であった。

スマートケース
スマートケース【昭和29年頃】
鋼板の枠を作り、ビニールレザーを被せチャックで開閉する手箱形のもの。寸法は尺3、4、5寸が圧倒的に売れ、婦人向きの小旅行又は洋裁鞄として愛用された。

ニューブライトケース
ニューブライトケース
【昭和29年頃】
枠をベニヤで作り軽量化を図り、縫製加工したビニールレザーを被せたもの。金具の開口とプラスチック製の把手を使用。